法話

『敬う事』を知らんのかね

最近の若者は年上を敬う事を知らんのかね。まったくけしからん。

以前勤めていたお寺でのことである。

このようなことをとても大きな声で話している参拝者を見かけることがあった。

しかも、その方はお堂の中で、帽子も取らずに。。。

そこでだ。まだまだ”最近の若者”の私は、

「申し訳ございません。堂内では、帽子をお取りください。ちなみに最近の若者はちゃんとお取りになってますよ。」と。

周りを見渡せば、帽子を脱いでいる”最近の若者”がその参拝者を見ていたのである。

そもそも、帽子は「カブト」から派生したと言われている。

そして、その頭にかぶるものは「権威の象徴」であり、王様の王冠や戦国武将がかぶる個性的なカブトが代表的な例である。また、料理人がかぶるコック帽は偉い人程高いそうだ。

つまり、『帽子を脱ぐ=目上の方を敬う』と、いう意味がある。

ではあなたの目の前にいらっしゃる、お堂の御主である諸天善神は目上の方ではないのか?

自分のことは棚にあげ、最近の若者は年上を敬う事を知らんのかね。

と、おっしゃっている。若者に文句を言う前に、まずはあなたが見本を見せようではないか。

法律的にも宗教的にも帽子を脱ぐ等の決まりはないが、日本人が大切にする”敬意を払う”というDNAがもし残っているのであればのはなしだが…。と思う出来事であった。

キツイ言い方をしたようだが、素直な気持ちでお参りをすれば、自然と頭が下がり、帽子を取ろうという気持ちになるのではないかと思う。

ちなみに、我々僧侶が衣の上から着けている袈裟は左肩を覆っており、右肩を出すように掛けている。

これは「偏袒右肩(へんだんうけん)」といい、右肩をあらわにすることは、「常に仏さまを敬います。」という表れなのである。

著者:渡辺知応

 

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