先月号では空になった肉体に悪霊が入り込まない為の『守り刀』として置くと説明しました。
ですが、棺の上の刀は今生(この世)との縁を切り離す為のものとしてしても使われると少しお話ししました。
今回はその続きです。
※前編は[ここから]
なぜこの世との縁を切り離す為に棺の上に置かれているのでしょうか。
それは仏教の出家に関係しているからなのです。
仏教ではお釈迦様の弟子になるという事は、今生(ここでは俗世との関わりを指します)との縁を切り離し、仏門に入り新たな世間との関係を築くことでもあります。
葬儀の際の引導文の中には法号(戒名)を授与し、お釈迦様の弟子になる旨を申し伝える部分があります。
この際に今生との縁を切り離す為に棺の上の刀の力を使う訳です。
ちなみにお坊さんの葬儀には棺の上に刀は置いておりません。
なぜなら、出家した際に今生との縁を切り離し、仏門の世界に入ったからです。
代わりではありませんが、霊山浄土(あの世)にお持ちいただくようにと生前使われていた法具が祀られます。