慶国寺の渡辺知応です。
先日、「息が詰まるようなこの場所で」
という小説を読みました。
簡単なあらすじはこんな感じです。
タワマンには3種類の人間が住んでいる。
資産家とサラリーマン、そして地権者だ――。大手銀行の一般職として働く平田さやかは、
念願のタワマンに住みながらも日々ストレスが絶えない。一人息子である充の過酷な受験戦争、
同じマンションの最上階に住む医者一族の高杉家、
そして総合職としてエリートコースを歩む同僚やPTAの雑務。種々のストレスから逃れたいと思ったとき、
向かったのは親友・マミの元だった。
かつては港区で一緒に遊び回り、
夢を語り合った二人だったが――。幸せとはなんなのだろう。
逃げ場所などない東京砂漠を生きる人々の焦燥と葛藤!(出典:角川文庫 息が詰まるようなこの場所で)
「息が詰まるようなこの場所で」は、
東京の湾岸エリアのタワーマンションを舞台にした小説で、
各章ごとに主人公が変わり、
それぞれの視点で人生を描いているのも見どころの一つです。
さて、この物語に出てくる言葉で
特に私が印象的だった場面があります。
それは、「人間の数だけ地獄がある」という台詞です。
日蓮聖人も「地獄はそれぞれの心の中にある」という
言葉を残していますが、
まさにこのことだと思いました。
みんな何者かになりたくて、
でもなれなくて悩む。
理想と現実のはざまでもがいて苦しみ、
それでも前に歩みを進める。
何が幸せなのか。
自分にとって人生とは何なのか。
自分は何者なのか?
この感情にハマって抜けられない時は、
アリ地獄のごとく、沈んでしまう感覚になるのかもしれません。
と、まぁ、この小説に書かれている
心情描写がとてもリアルで、
同じ経験をしているわけではないけど
なんかこう、心の奥底をグッと掴まれる
そんな小説でした。
興味が湧いた人は読んでみてください。
そしてあなたの感想を聞かせてください。
それでは最後に質問です。
「あなたは何者ですか?」
という問いかけに
あなた自身が納得できる解答を持ち合わせていますか?
慶国寺 渡辺知応