登詣修行

山登りが身も心も浄化する理由

慶国寺の渡辺知応です。

日本には昔から山岳信仰(さんがくしんこう)というものがあります。

山岳信仰とは、
山には神々が宿っており
その自然の恵みである水や
食料などの恩恵をありがたく受ける。

またその反面、
噴火や土砂崩れなどの災害をもたらす、
厄災の源として考えられてきました。

ちなみに山での災害が起こることを
「お山(山の神様)の機嫌を損ねた」と言ったそうです。

したがって、
山自体をを大事にしなければいけないという
伝承がそれぞれの地域で今も根付いているそうです。

さて、そんな山岳信仰の中から
発展した言葉があります。

何か重たいものを持ち上げる際に
「どっこいしょ」
と声をかけることがあるかと思います。

実はこの「どっこいしょ」は、
山を登る際の掛け声だったのです。

語源は
「六根清浄(ろっこんしょうじょう)」といいます。

ろっこんしょうじょう、と繰り返し唱えながら山をひたすら登ります。

ろっこんしょうじょう

ろっこんしょうじょう

ろっこんしょうじょ

ろっこんしょうじょ

ろっこんしょ

ろっこんしょ

どっこいしょ

といった具合に変化したそうです。

では、この六根清浄とは何なのかというと

六根は、
眼(視覚)
耳(聴覚)
鼻(嗅覚)
舌(味覚)
身(触覚)
意(意識)
これら6つを言います。

それらを清浄にしたいと願い、山に登るわけです。

つまり六根清浄とは
自分自身を清めていくということというわけです。

山に登って六根が本当に清浄なるのか?

深く突っ込んだ話しをすると
宗教的な答えになってしまうので
もうちょっと現実的な回答をしてみます。

七面山の登詣では、
頂上付近にあるお寺までの道のりまでは
約6kmです。

ずっと登りの山道が続くので
本当に疲れます。

12月中旬に歩いている時でも
半袖のTシャツでも充分なくらいです。
汗も滴り落ちるほどです。

汗を出すことを
「毒抜き」なんて言ったりもします。

実際は汗で毒が出るわけではなく
動いたことによって
体の細部までの血管が活発化されて
劇的に新陳代謝が促され、
結果的に良いものと悪いのもが入れ替わるというわけです。

これが山岳信仰において言われている
六根清浄の正体かと思います。

そこに山を信仰する気持ちが合わさって
さらに効果が増すわけです。

ここが心の浄化ということになります。

気の持ちようだと言ってしまえば
それまでですが、
登りきった達成感や爽快感を味わうと
「あー、なんか身も心も浄化されったっぽいなぁー」
と、不思議と誰もが言います。

日常でも精一杯やったあとの達成感は
何事にも変え難いですよね。

時には全力を出し切ってやってみる。
その先には必ず素晴らしいものが待っています。

常時、全力で何かを取り組むことは
とても難しいですが
たまには自分の限界値までやってみると
身も心も浄化するはずです。

ごえんクラブJ@慶国寺
渡辺知応

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